boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

パン屋の機械 海外との違い

いつかのブログで、極端な話いづれスマホでパン屋が出来る見たいな事を書いたのだけど、それは主にソフト面での印象でパン屋の機械化はすでにそれなりに進んでいる。大手の袋詰めパン、中堅規模のパン屋でもひと昔前から大部分が機械だ。

 

探したら動画を発見、こちらに来て良く聞く有名パン屋さんだ。今はなんでもあるよなー。

 

この規模になると「横型のミキサー」が主流。→大容量可能で大量生産向き

分割、丸目、成形、焼成、冷却、袋詰めまでほとんど機械っすね。これでも横型の中では小型の方だと思う。

 

小規模店舗のミキサーはだいたいこれ。

色々と突っ込みどろこも多いけどw 

この標準的な「縦型ミキサー」が主流。

(本来縦型ミキサーのフック(捏ねる棒の部分)はこれじゃ無い)

ちなみにフックだけで4キロ近くありボールもそれくらい。この生地の量で約20キロ越え。ボールから生地を取り出すのは最初の難関&重労働。生地は粘弾性がありますからね。

 

 そしてヨーロッパの主流は「スパイラルミキサー」。

 ボールが回転しながら螺旋状のフックでコネコネします。

 

本来日本の縦型ミキサーのフックはアルファベットのジェイ→Jのような形。

動画無かった...

 

その日本で主流の縦型ミキサーは生地に対しての衝撃が強くアメリカタイプの小麦粉のグルテン形成に有利。スパイラルミキサーは生地に優しく、そもそもグルテン形成が弱いヨーロッパの小麦粉向き。

 

日本では多種多様なパンを作る必要があるので、縦型ミキサーでもスパイラルミキサーの効果を得る為に動画のようにフックを交換して対応している店舗が増えている。

 

将来どんな商品を売りたいか?でミキサーの選択も変わってくる。 物によっては窯よりも高価な物になるし輸入物のスパイラルミキサーは実際国産より高い。ミキサーと窯の性能は製品に大きな影響を与えるのでしっかり検討したいところ。

 

ところで動画を探していて見つけた本場フランスのバゲット作りの映像。

 

あちらの一般的な中規模店舗の作業風景ですが、バゲットメインのその作業風景は一部機械で効率化されているとは言え、分割後、成形の仕上げ、窯入れ、窯出しは全て手作業で行っている。毎日数百、いや数千本単位で焼いている感じ。

 

日本の作業との違いを一言で言えば、粉や商品そのものの性質の違いなのだけども色々と興味深い。

 

・手作業が多い

・大雑把に見える成形

・ホイロは密室でなくただの室内 

・クープ(切り込みを入れる作業)は割と雑

・結果、形バラバラ...

 

国内で少しでも学んだ人はまずはそんな疑問が出てくるはず。これは小麦粉や発酵の所にも書いたので興味のある人は是非。

 

形に関しては、刺激に弱い生地の取り扱いの違いの他に、もの凄く簡単に言うと味と関係無いからで買う人も気にしないからなのですが、15年ほど前に日本人技術者が世界一になってからは、一部本場の職人の意識も変わりつつあります。形も綺麗にしよう〜と。文化の逆輸入状態になったって事は、日本の技術が認められた証拠でもある。

 

そんな文化の逆輸入状態。飲食の中でも製パンは一番遅れた感はありますが、同時に色んな可能性が広がっている事も意味します。

 

パンのビジュアル、海外との違いはまたいつか。