boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

この世界の片隅に

読者登録している人が全力でお勧めしていたので今更ながら本日鑑賞。→amazonプライム無料

 

この世界の片隅に」と「火垂るの墓」の噂は色々と聞いていて、amazonで映画選びの際に迷う事があったけどいつも後回しにしてきた。泣ける映画と話題になった映画は世間の熱が冷めてから見る。別に意識している訳では無いけども「この世界の片隅に」は何となくそうなってしまっていた映画の一本。

 

戦争映画にはあまりない演出という事は分かっていて、物語は昭和20年、広島の片田舎の生活を舞台にその予想通りに淡々と進む。当時の生活は天然キャラのすずを中心にとてもユーモラスに描かれているんだけども、これが凄く綺麗!←語彙..

 

今じゃ考えられない結婚生活の在り方とか当時の戦時の常識とかを織り交ぜながら自然に進む物語。天井の板の節目を指でなぞる、重たい荷物を壁を利用して背負う、薪をくべ夕飯の支度をする、生活用水を汲みに行く、手洗いの洗濯や裁縫、食糧難の時の工夫...

 

当時を知る世代では無いけども、その時代を生きた祖父や父に当時の様子を直接聞いた世代ではある。祖父の家に行けばその当時の生活スタイルを感じるものも沢山残っていて、映画で描かれた生活もギリギリ実感が湧く世代だ。

 

その頭の中で描いていた質素だが厳しい生活が劇中でははとても美しく描いてあって、戦時中の街並み、棚田から見る軍港、漁港、集落での日常などの風景がとにかく美し過ぎる。←語彙...

 

絵を描く人って凄いなーとあらためて感動←え?そこ?😅

 

いや、当時の当たり前の風景が、アニメなんだけども物凄く説得力があるのは細かいディテールにこれでもか!とこだわった証拠だと思う。そこが丁寧に描かれているからこそ、悲しい現実や天然キャラのすずの生活に感情移入する。

 

何も考えていないようなおっとり天然キャラのすずにとっては、今世界で起こっている複雑な出来事とは無縁で一見利己的な生き方にも見えるのだけども、毎日の生活を必死に生きていて、頭に禿げが出来るほど悩み、自分を犠牲にして実際には利他的に生きている。

 

現代においては、家業を生業にしている人、農家や酪農家と言った目の前の仕事を質素にかつ必死にやっている人がいる一方で、やり甲斐とか社会貢献とか、一見利他的な生き方を目指すも利己的になっていると言う目的と手段が入れ替わっているのかな?と言う人達を良く見かける。

 

何だかなーと、自分の中では未だにハッキリと答えが出ない人生なのだけども、それぞれが置かれている立場によって、色んな視点で色んな見方ができる見事な作品に仕上げるためには、あのすずのキャラは必須だったのかな。

 

それから劇中で流れたグレン・ミラーの「ムーンライトセレナーデ」。戦時中であっても敵味方問わず文化や人種の垣根を超えて愛された音楽と言うのも感慨深かったのだけども、彼もまた1944年に亡くなった戦争の犠牲者の一人だ。→映画「グレン・ミラー物語」はお薦めです。

 

戦争がもたらした埋もれた悲しい出来事は、世界各地に無数にあってそれぞれが色んな事を言い出したらキリが無いのだけど、原爆については、一度きちんと謝罪しろ!と思うのであった。←はい、台無し

 

それにしても綺麗な映画だったなー。😭😭😭😭

これは何度も見るパターンやな。

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戦時中、戦後のうちの爺さん、両親、叔母達。

なんか昔の人って生き生きしとる。