boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

初めての「運転手さん!あの車追って!!」笑!!

今朝は出勤時から雨が降っていた。加えて、前日の4月中旬並みの気候が嘘のように寒い。前日の気温との差は10℃以上もある。東京は毎年こんな感じなのかな?福岡にいた時はあまり体験しなかった流れだな。それでも9℃くらいあって寒さはそれほど感じない。なのに、ラジオでは、「また冬に戻りましたね〜、寒いですね〜」を連呼する。

 

福岡から見たら東京の冬は暖かい。

そして寒暖の差が激しい。

でも、少し陽が照ると途端に暖かくなる。

寒いのは苦手なんでなんか東京に来て良かったな。

 

さて、タクシーに乗り始めて雨の日の乗務は3回ほどしか経験がない。まだひと月経っていないであろう頃の記憶。ナビを見て都内を走るだけでいっぱい、いっぱいだった頃だ。今はだいぶ慣れて来て9割がた行き先を聞いてすぐに進行方向に向かえるようになって来た。ナビもほとんど入力しない。

 

そんなお客さんを拾うことに不安や戸惑いがほぼなくなって来たこの日...

 

朝からクソ忙しい。

 

ずっと降り続ける雨。

鳴り止まない無線。

やまない雨はない。←関係無い。

 

雨の日は業界全体で2割ほど売上が伸びる。

明日はW BC準決勝だしアメリカの本気もそろそろ見たいよな。←非国民!

この調子で早めに予算達成してとっとと帰ろう!!!

 

そう決めて走り続けてようやくいつもの乗り場に入ったのが22時過ぎ。乗り場で待っているとしきりにスマホを触りながら車の前でウロウロする女性客。

 

乗るのか?乗らないのか?

横のディスパッチャーもその時を待つ。

 

ディスパッチャーが他の到着のタクシーのドアを開けに行った瞬間、ふいに動き出す女性客。自分でドアを開けて乗って来る。

 

「ご乗車ありがとうございます!どちらまでお送り致しますか?」

 

六本木の交差点を左に曲がって一つ目の信号を右へ。

 

女性客「あ、そこ曲がると、どこにでます?」

 

鳥居坂を下ってそのまま直進すると麻布十番の商店街に入ります。

 

女性客「じゃあ、そこへ向かって。」

 

そんなやりとりをして向かっているとけやき坂はどこ?と聞いて来る。

その先の交差点の芋洗い坂を下るかヒルズ横を通ると行けますよ。

 

この人、どこに行きたいんや?何がしたいのか?

 

けやき坂はヒルズの横にある短い坂道。現時点からの行き方が複数あって、その行き方で坂の下から行くのか?上から降りるのか?が変わる。

 

面倒くせぇー。と言うか走り出してからの突然の変更が色んな意味で危険。

最終目的地をしっかり確認して車をどちらの向きに走らせれば良いのか?

 

雨で混雑した繁華街を人や自転車、車が、迎撃ミサイルのように飛んで来る 。そんな道路で、それらをかわしながら、自然なやりとりでお客さんの意向を聞き出すのは側から見るより大変だ。

 

しかも、お客さんは途中で電話をかけ出した。

 

ミサイルの合間を縫うように必死で走っているのに会話の合間も縫えと?

 

ようやく進行方向が決まって一安心したのも束の間、狭い道で黒いワンボックスとすれ違った瞬間、あー!今横を通った!

 

 

女性客「運転手さん!あの車追って!!」

 

 

私 来たぁーーーーーーーーーーー!!!!!

 

笑!!!!!!!!

 

一瞬戸惑ったが転回出来ない状況では無い、何よりも心が踊る。笑

 

電話のやり取りから会話の相手がそのワンボックスの運転手らしかった。今〇〇を通った所だからとかなんとか、しきりに今いる場所を言っていた。

 

なんらかの原因で待ち合わせに失敗して彼氏か旦那の車に向かっていたのだろう。

転回してカーブを曲がった所で車3台ほど挟んでワンボックスの後ろにつけた。

 

そう知らせると喜ぶお客さん。

 

私が思った「運転手さん!あの車追って!」とは状況が違ったけどもなんかこっちも嬉しい。

 

後をつけて行くとタクシーしか入れない高速の下を通って行く。

 ??ワンボックスは一般車。間違ったのかな?知らないのかな?

そのまますぐに転回専用の車線に入って転回する。

転回してすぐにハザードを出して止まる車。

 

一瞬後ろに止まろうとすると

 

そのまま追い抜いて!停車中の車一台挟んでその先で止めて!!とお客さん。

 

お?これは

 

私が最初に思っていた「運転手さん!あの車追って!」だ。

 

ここで少し謎が解ける。

電話の相手は一緒に尾行する予定の人、ワンボックスの謎の動きは尾行を警戒もしくはまこうとしている事。お客さんは今の状況を尾行仲間にしきりに電話で伝えている。

 

私、気付かれちゃったかなー?このまま待機しているから早く来て!

 

電話の相手にそう伝えると、運転手さん、このまま相手が動くまで待って下さいと。

 

雨で視界が悪い中二台後ろの一部しか見えない車の動向を見守る。

その間もお客さんはずっと電話。

 

急に発進されてまかれては行けない。

交通量が多いのでそのタイミングを逃すと尾行が困難になる。

バックミラー越しに必死で後方の車の動きを凝視する。

 

気分はすっかり尾行する側だ。

 

このまま相手が発進したらどうしよう?どうやって発進しよう?

ただ後をつけるのとは違うし相手に気づかれないように、だよな。

 

気分はすっかり、尾行する側だ。

 

あれこれ考えながらその時を待つ。

 

お金になるし、暇だし、楽しい。

そのうち尾行仲間がやって来た。後ろに向かって合図するお客さん。

 

古い型の車で私の車の後ろに乱雑に止まる尾行仲間。

 

なんか探偵っぽいなぁー、良いねぇー。

その瞬間、相手が動いた!!

私の車の横を通り過ぎるワンボックス。

 

慌てて発進しようとして周囲の車の動きに集中する。

 

!!!!!

 

ワンボックスは今度は目の前の車一台挟んだ前に急にハザードを出して停車した。

 

運転手さん!そのまま動かないで!!!!

 

危ねぇー💦💦💦

 

相手は尾行する車を確認するかのように不自然に急にに止まった。

 

つられて発進するとこだったよ。

なるほど。これが、尾行か。

 

そこでまた長い時間が経過してこう着状態となる。

お客さんはこの相手に何度かまかれているらしい。

 

結局、お客さんがわざとワンボックスの前で降りて姿を見せ、安心させてから尾行を他の仲間に任せると言う事になった。期待していた追跡劇にはならなかったけど、最後にワンボックスを追い抜いて前で止めてお客さんを降ろす時は

 

なんかドキドキしたなぁ〜。

 

結局尾行する理由は分からなかったが映画やドラマのような展開に大満足の深夜の六本木。

この後、横浜の戸塚、帰って来て埼玉の浦和の先へ¥17000ほどの仕事を2本やって

またしても変態(10万越え)となった雨の日の乗務。

 

こんな日は忘れられないだろうなぁー。

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無線地獄の雨の日。

オシッコちびるかと思ったぜ。