寮の周辺で買い物に行く所は主に4箇所。
チャリで5分の所にスーパー2件、歩いて2分の所にコンビニ、チャリで2分の所にドラッグストアがある。
今日はゴミ袋が無くなったのでドラッグストアに行く事にした。
こっちは指定ゴミ袋とかが無くて良いよね。
福岡は10枚位しか入ってなくて¥500くらいしたのに。😭
ドラッグストアに入る。
いつもの角刈りの早口で、素早く機敏に凄いスピードでカクカクに動くお兄さんの
「いらっしゃい ま せー!!!」が店内に響く。←「せっ!」しか聞こえない。
絶対自衛隊に居たでしょ?
目的の商品を買い物カゴに放り投げてレジへ向かう。
「ポイントカードはお持ちで すか?」←「ポとすか?」しか聞こえない。
すか?の最後の言葉の音が途切れる寸前に、素早くカードを渡す。
角刈り兄貴はピッ!と私の手から素早くカードを抜き取るとそのまま華麗にレジに通す。
あの、レジの縦幅に通っている細い線をいとも簡単に通してしまう。
通し終わるその瞬間、カードを持つ手が一瞬スローモーションのように滑らかな動きに変わる。
レジの細い線に沿って、真下に一直線に動いていた手が、その勢いを自然に殺して別の動きに変わる。
くるりと手の平が上になっていつの間にかその右手の下に左手が添えてある。
出た!必殺の燕返し!! 笑
と思った瞬間!!いつの間にか兄貴の身体はこちらを向き、腰をほんの少し折り、角刈りの頭をペコリと下げる。
見とれている暇はない。ここで相手に飲み込まれたら終わりだ。
くっ!今日こそは負けられない。
高校三年の夏に最後の部活動を終え生涯打率.333で幕を閉じた野球人生。
その後、免許欲しさに初めて本格的なアルバイトを開始したのがスーパーのレジ打ちだ。今のようにバーコードでは無い。商品ごとに部門と値段を手打ちするヤツ。
左手で商品を掴み、値段を確認しながらカゴに戻す。レジを見ずに、右手は素早くキーを叩く。
元祖ブラインドタッチ。😂
こっちもその辺の素人じゃ無いんだ。
1日300〜500人捌いて来たんだ。😤
角刈り兄貴の右手に左手が添えられた瞬間にカードを受け取る。
間を潰しては行けない。
兄貴の間、こっちの間。互いの間。
間を潰さずに、両者無駄な動きをしてはいけない。
そんな互いの間は、ひょんな事から突如潰される。
財布からカードが見つからない、小銭を沢山出したい、時には外部からの妨害もある。
全ての瞬間に臨機応変に対応しなければならない。
序盤で仕掛けてみるか...
兄貴が小計まで終わった時に、財布の小銭入れから、小銭を探すフリ攻撃を仕掛けて見る。
しかも、少しもたつくよ、パターン。
兄貴はそんな私の動きに合わせて、時には素早く、時にはゆっくりとスピードを変えて買い物カゴからビニール袋へ商品の移動を開始する。
どこで出すか?相手の動きが一番ゆっくりになった瞬間が狙い目だ。
早い動きから、緩やかな動きに切り替わる瞬間を狙い、小銭を小銭受けに置く。
絶妙なタイミングだった。これは完璧。勝ったも同然。
ほんの一瞬、0コンマ何秒かの勝利への喜びと油断。
ふと視線を戻すと、兄貴は商品カゴからレジ側に動いていて、しかも、もう小銭に手を掛けている。
!!!!!!!!
「あと一円お願いできますか?」
うっ!!クククク、クソ〜。←動揺している。
これで終わった。互いに一切の無駄がないやり取りが終わった。
慌てて小銭を探し、しかも10円玉を落として更にもたつく私。
兄貴は涼しい顔で、商品を入れ終わったビニール袋の中身を整える動きなんを余裕でやっている。動きを止めて棒立ちなんてしないぜ!フッと鼻で笑っている。
相手に合わせて、見事にレジ業務の動きをやり続ける。
ま、負けた😅