映画「地獄の黙示録」は「ディア・ハンター」の翌年に公開されたフランシス・フォード・コッポラ監督による、当時世界中で物議を呼んだ戦争映画。(1980年日本公開)
公開当時私は小学生の高学年で、ガンダムが流行る前は第二次世界大戦時代の戦車のプラモ&ジオラマ作りにハマっていて、そんな趣味の同級生は他にT君一人のみ(笑)、そのT君の父親に連れられて3人で観に行った覚えがある。鑑賞後、幼心の私でも「これは子供が見たらアカンやつや」と思い、後味の悪さが今でも鮮明に焼き付いている。笑
それからしばらく経って10年置きくらいに見直しているのだけど、今見ても色んな意味で衝撃的な内容である事には変わりは無かった。
久々の鑑賞
エミリオ・エステベスそっくり!の印象がどうしても強い彼の父親で主演のマーティン・シーン。劇中では見る角度や表情によって、同じく息子であるチェーリー・シーンに瞬時に変化する。なんか遺伝子って凄いなー。
冒頭には若いハリソン・フォードもちょい役で出演、実はこの映画、ジョージ・ルーカスらによって進められていた企画であったが当時はベトナム戦争真っ只中、企画が通らず作品の権利をコッポラに譲り「スター・ウォーズ」の制作に入った。
ルーカス版「地獄の黙示録」はどうなってたんだろ?いや、彼は「スター・ウォーズ」で正解だったよなーなどと思うのです。
何せこの映画は狂気が前面に出ているからこそ成り立っているふしがある。
「スター・ウォーズ」もテーマは同じ光と影、善と悪、一歩間違えばダークサイドと行った具合に似た所もあるのだけど、「地獄の黙示録」にはほとんど正義が描かれていない。コッポラでなければこの映画は無理だよな〜。
ストーリー
話の大筋は、狂気に満ちた戦争の渦中にアメリカ軍カーツ大佐が命令を無視、ジャングルの奥地に独立国家を築いたので暗殺しに行くお話。戦争がもたらす自我の崩壊→狂気の世界へと誘う様を、主に主演のマーティン・シーン視点で見せるのだが、彼もまた、一歩間違えば危ない世界へと入ってしまう直前だった。危ない、危ない。
狂気と欺瞞
しかし!任務序盤で登場した完全に一歩間違ってしまったwロバート・デュヴァル演じる
ビル・キルゴア中佐は完全にぶっ飛んでしまっていた。趣味のサーフィンがしたいからと個人的な理由で敵地を奇襲攻撃。村を襲う際にはワーグナーのワルキューレの騎行を大音量で流す。その時に放った「朝のナパーム弾の臭いは格別だ」はまさに狂気の沙汰。
そんな光景を見たマーティン・シーン演じるウィラード大尉は、「キルゴア中佐が許されて、何故カーツ大佐は責められるのか?狂気と殺人が理由?」
「それはここにあり余っている」と日記に記す。
コッポラは、撮影が長引く余りにテーマが何か分からなくなったと言ったらしいが、人間の二面性や戦争がもたらす狂気、ベトナム戦争の欺瞞を皮肉を込めて描きたかったのだろう。助ける一方で殺す、そんな場面が沢山出てくる。
音楽
ディア・ハンター同様、冒頭と終盤で流れるドアーズ のジ・エンドがこの映画を見事に表現していてどこまでも儚く美しい。
ジ・エンドの後半のセリフも完全に狂気だよなー。ライブもぶっ飛んでいるし。
内容はとても書けませんがね。笑
相変わらずスゲー映画だった。←語彙w
けやき坂のイルミ。また今年も始まったか...