監督のジュリアン・シュナーデルが新表現主義とやらの中核をなす画家だと知ったのは先日の「潜水服〜」を見た時。←Wiki
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絵画に関してはほぼ知識ゼロの私は、そこから印象派、抽象表現主義、現代アート、抽象美術、ポップアート、ミニマル・アートなどのワードを見つけてはページを開きふむふむと分かった振りをする←わかっていないw
絵を描くと言う技術的な知識はそれこそ皆無なので、今の所要は個性でしょ?と思う事にした。笑
画家が画家を描く。どんな映像になっているんだろう?こうして興味津々で観に行った。
レイトショーと言う事で貸切り状態。ど真ん中を陣取り映画は最高の状態でスタート!!
物語は南仏のアルル時代を中心に描かれていて、ゴーギャンとの共同生活や別れ、耳切り事件から施設への入所、退院後の医師ガシェとの生活から撃たれて死去するまでを描いている。
独自のタッチで当時は誰も見向きもしなかったゴッホの絵画。風変わりな作風と一風変わった言動は、小さな村では目立ってしまっていつしか彼は狂人扱いとなって行く。
美しい自然を見ると気を失うほどの衝撃を受け、大地に寝転び土と戯れ歓びに満ち溢れるゴッホ。絵が全く売れない時には、私には他の人には見えない物が見ているのか?と不安になった時もあったが書きたい衝動は増すばかり。ゴーギャンとの絵についての論争、評論家達の評価、周囲の人達の意見を聞いているうちに、次第にその特殊な感性を受け入れ、それでも自分が感じた物を分かち合いたい!と作風を変えずに描き続けた。
精神病等?に入所してからは、ゴッホ視点の映像が彼が愛した黄色に変わる。
絵具が波打ってキャンパスから立体的に浮かび上がるほどのゴッホの絵は、ゴーギャンから「お前の絵は彫刻だ」なんて皮肉を言われるほどであったが、彼が書いた絵と実際の風景を、黄色のフィルターを通して重ねて見ると見事に同化した。(無数の小さな曲線で描かれる独自のタッチの理由を監督なりに解釈したのかな?)お見事!
今では数億円から数百億円!!で落札されるゴッホの絵画。ヒエッ!笑
医師ガシェの肖像、郵便夫ジョゼフ・ルーラン、ひまわりなどの代表作が描かれている時のエピソードが随所に描かれているのも見所の一つなのだが、南仏の自然の描写がとにかく美しい。語彙..
手ブレのカメラと爺さんのドアップがやたらと多いのが一部不評であるみたいだがw
一般的な感性とほんの少しずれているから味あう本人しか分からない深い孤独と悲しみは存分に味わう事が出来た。
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劇中で描かれていたゴッホはT君にそっくりなんだよね。
個性ってなんだろね。
劇中でのゴッホは他人との違いを全て認識、受け入れていたのが終盤の医師との会話で分かる。
描き続けて幸せだった事が分かる。
芸術家の視点や思考をこんな私にも分かりやすく映像化している良い映画です。
見たまま素直に感じるべし。名演技とひたすら美しい自然の景観は是非劇場で!
(爺さんのドアップがなー。笑)