とうとうこの時が来たか!となった先日のバレンティーノ・ロッシの引退会見。彼はイタリアでは知らない人がいない!と断言出来るほどの世界的に有名バイクレーサーで、ロードレース世界選手権参戦以来前人未到の9回のワールドチャンピオンを獲得している史上最強のライダー&生ける伝説。
何故彼は伝説なのか?と言うと個人的見解においては
それはレースは常に命懸けであるから
そして
毎回本当に命を賭けているから
そこで惜しむ気持ちもあって久々にドキュメント映画の「FASTEST」を見た。←ロッシの栄光と苦難が詳細に描かれている。
その中で印象に残っているコメンタリーの言葉。
1、「決勝に臨むライダーとクルーは剣闘士だ。だが、フリー走行や予選走行では科学研究者のようだ」
古代ギリシャではまさに命がけの死闘がエンタメとして栄えた文化があった。現代社会においてそれは絶対にタブー、だがMoto GPにおいてそれは割と普通であっりする。そしてそこに近代の科学技術満載な点は非常に興味深い点であって、あらゆるデーターを数値化&可視化しても尚コントロール不可能な事象を、結局最終的には生身の人間がコントロールせざるを得ない所がレースの醍醐味。
2、「2輪は単純な乗り物に見えるが実は4輪自動車よりもかなり複雑な動きをする バイクは動力学的に航空機と似ている」
カーブでバンクする際は60°以上の角度。しかし重力によるバイクが倒れる力とコーナーリングと速度によって起こる遠心力との均衡でバイクは倒れない。時には300Km以上のスピードからカーブ手前で90Km程度にまで減速、その時バイクのサスペンションは最大限に沈み込みマシンによる制御は不能となるので最後は人の感覚によってマシンをコントロールする事になる。コントロールと言っても単純な動作&作業では無く、体の隅々にまで神経が集中している状態で行うコンマ何ミリかの荷重移動と調整で、レーサーの体は頭の先から爪先に至るまで、まるで全ての毛穴がセンサーでもあるかのようにその時のあらゆる状態を捉えて一瞬でコントロールしている感じ。そのコントロールが寸分でも狂うと死に直結すると言うレースを15年以上続けているってアスリートでさえも他にいる訳も無く、似た境遇の人を考えた時には傭兵とか殺し屋的な人しか想像出来ないって何気に異常だ。笑
時には200キロ オーバーで転倒、想像出来ないくらいの恐怖を感じても尚人間がそこに立ち向かうってさ。←薄っすw
3年前のモテギにて。こんな角度!ほぼ転倒状態っすね、 恐ろしや。
ロッシの偉業&記録を破れるのはマルケスか?と思っていた矢先の事故による不調。 そこを乗り越えたロッシとこれから乗り越えるか?のマルケス&そして若手の台頭。時代が動く瞬間が目の前に迫っていて目が離せません。
今季限りで表舞台からは去るけども、世界中から「本当に長い間お疲れ様でした!!」&「感動をありがとう!!」の声が聞こえて来るような気がしました。