boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

クロワッサン

大雪警報発令当日の勤務。普通の雨の日じゃねーか!どこも騒ぎすぎなんだよ!と思いつつも、実際は金曜+終日雨(&雪)とあってアプリが鳴り止まない状態で休憩する暇が無い。これはタクシーあるあるで、自由に休憩出来るとは言え流れを切りたく無いが故に自然に途切れるのを延々と待ってしまって、ついには休憩を取るタイミングを逃してしまうと言う現象だ。こんな時に便利なのが(〇〇交通)専用タクシー乗り場で、大型施設やホテル等の待機場所が空いていればそこに入って順番待ち→ついでにプチ休憩→自動的にお客さんがやって来ると言う優れもの。と言う事で、六本木を通りかかった際にミッドタウンの車寄せを確認、5台まで並ぶ事が可能な待機場にスペースがあったので迷わず入った。都内を運転しながらお客さんを探すと言う一見単純な作業も、こうして一休みすると案外神経を使っていたのが良く分かる。がっ!あっという間に順番が回ってきて(5分くらい)束の間の休息も終了〜。ドアを開けると「こんにちは〜」と明るい挨拶で女性が乗り込んで来た。その短く発した言葉は、どことなくカタコトの日本語に聞こえたのだけど今となってはさほど気にならない。田舎者の私から見たら東京はまさに人種の坩堝、何語かさえも分からない人が常に乗って来る特殊な街だ。行き先を伝える言葉もぎこちなかったがきちんと伝わるだけで十分。日常会話は出来るんだね、くらいに思ってドアが閉まった瞬間車を動かした。

 

3分も走らぬうちに異変に気付いた。

 

パンの芳醇な香りがする!!

 

ミッドタウンに付けていて何度目だろ?美味しいパン屋が入っているに違い無い!と確信はしているものの今だに確認はしてい無いと言ういつものあの香り。ルバン種による乳酸菌が発する酸臭とクラストの焼けた香りが合わさった個人的に最高のパンの香りで、良く出来たパンの香りは度々書いているけど最高の芳香剤(笑)、いつまでも永遠に嗅げるなんとも魅惑的な香りなのである。ルバン種による長時間発酵+技術力(発酵と熟成の見極めが出来ている)があって初めて発する事が可能でその効果は絶大、車内は瞬く間にパンの香りが充満した。

 

ここでいつも思う、ちょっとお客さんに聞いてみようかな?と。なんて言うお店?いつも買っていらっしゃる?お気に入りのお店?などなど。良い匂いで満たしてくれてありがとう〜も伝えたいしなんならその秘密もちょっとだけ伝えたい。そしてパンをもっと好きになってもらいたい。ところが、原則こちらからは話しかけない(決まり)。話の切り出し方もちょっと微妙で、考えれば考えるほど毎回やめておこうとなる。+タクシーの車内ってのはトイレの個室効果もあると思っているのでせっかくの一人の時間も守ってあげたい。

 

 

降車時

※「メゾンカイザー」であった

 

何故かもらっちゃった!笑

 

 

メゾンカイザー

・1996年にパリにオープンした「エリックカイザー」←店名&創業者の氏名っす

・ルバンリキッドによる新技法考案→一躍有名に

・その後「木村屋総本店」二代目木村氏がエリックカイザー氏のDNAを引き継ぎ2001年「メゾンカイザー」1号店オープン

・都内を中心に国内30店舗?を展開

ルバンリキッドとは、ノリノリの兄ちゃんがこの時混ぜているドロドロ状態の発酵種。レーズンなどから採取した野性の酵母に、ほぼ水と粉1:1を合わせ約1週間かけて酵母を培養→雑菌が無くなって乳酸菌&酵母で満たされパンに最適化された状態。兄ちゃんがやっているのは種次作業で、既に完成しているルバンリキッドに新たに粉と水を加える事で1日〜2日で完成する。このルバンリキッドを様々なパンレシピに5%〜10%加える事で長時間発酵による芳醇な香りの恩恵を受ける事が出来ます。木村氏は店舗系展開するにあたって、最も難しいとされるルバンリキッドの管理を機械化(開発)。何でもかんでも入れると味が単調になると言うデメリットも企画力でカバー。シンプルなハード系&定番のパンには相性抜群なので是非お試しを。

 

それにしてもあの女性客、私の頭の中は覗かれていたのだろうか?笑