boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

パンの美味しさとか旨味とか...❶

今朝ラジオでとある食パン専門店のパンについて言及していた。番組でテリー伊藤氏はその食べたパンについて、甘すぎる?的な発言があって、パンが甘い事に少し不満があるようだった。なんでも甘くて柔らかければ良いのか?じゃあ、フランスパンやドイツパンはどうなの?的なコメントを聞いていて、少数派の意見ではあるけども、確かに!と思う事もある。

 

作り手の思う美味しさと消費者の嗜好は一致しないもどかしさもあるが、その辺はひとまず置いておいて、ここではパンの美味しさや旨味についてのお話を。

 

まずは小麦粉について

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↑断面

あの小さな一粒は上記のように3つの組織で構成されている。(ここではアリューロン層省く)

 

外皮、ふすま

一口に外皮と言っても6層構造

 

胚乳

小麦粉になる部分で全体の85%を占める。

 

胚芽

小麦の生育に欠かせない芽が出る部分、全体の2%。

 

※外皮と胚乳は完全に切りはさせないので歩留まりは78%

 

小麦粉のメインとなる胚乳部分の中でも、周辺部分よりも中心がタンパク質が少量だが良質、デンプン量は中心部分に多くなるなど胚乳内の場所によって成分傾向も変わる。個人的に日本の製粉技術が世界一だと思っているのは、あの小さな一粒を性質や成分によって細かく分類→後に用途に合わせて最適にブレンドさせているから。各ブレンドの比率によって味は無限に変化する。

 

とは言っても、ベースとなる味は小麦の品種である程度決まる。日本人は柔らかさに惹かれるので、どうしてもアメリカやカナダ産の良質なタンパク質が欠かせない(良く伸びる)。かなり大雑把に言うといつも食べている食パンの白い部分の味だ。

 (ディスカウント系のショップで一斤¥68とか¥78で売っているものは別)

 

また、料理などの作り方や評価で「粉っぽい」と言う表現を聞いた事があると思う。調理前の小麦粉を鼻に近ずけて匂いを嗅ぐと当然粉の匂いがする。あの風味や味が調理後の料理に残るとダメ評価になるアレ。実はその粉の香りにも嫌味のない非常に爽やかな物がある。良質な小麦粉で純度の高い粉であれば、食べたり嗅いだりしてもしても不快に感じ無い。いつかの記事でもチラリと触れたが、家庭料理にいつもの薄力粉ではなく、製パン用、しかもプロ用の小麦粉を使用するとそれはハッキリと分かる。製パン用の小麦粉は強力粉が多いのでほぼ混ぜ無いなど注意が必要だが、最上級である特等粉の美味しさは是非試して頂きたい。

 

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最後のチャーシューで醤油ラーメンを。

3等粉以下であるはずの市販の麺。でも関東のラーメン用麺って美味しいんだよなー。特等粉には無い雑味が良い。→この件は次回に続く