boulangerieの暇つぶし

元パン屋で都内タクドラの雑記。パン、料理(自炊)、音楽、映画、インテリア、酒、車、旅行...元嫁と質素な楽しい暮らし。

値上げ

先日久々に鈴木から連絡があった。彼は夜勤にて相変わらず稼いでおり、話題もいつもの通り売上自慢一色だった。その後今後の希望と言うか目標の話になったのだけども、彼は相変わらず何か?で起業したいらしく、特に何かしらの飲食店を開くのが以前からの夢。けれども稼ぎが良いので「先にマンションでも購入しようか〜」とほざいた物だから(笑)、「今から起業する予定の人は120%そんな事しない」とだけ言っておいた。起業の厳しさ、起業してからの厳しさ&運転資金の重要性くらい認識していると思っていたけど、どうもその辺がピンと来ていないらしい。

 

さて、少し前に近頃の世界情勢によっての値上がりについて言及したのだけども、簡単に書くと値上げには賛成派で、それは、原料の価格高騰が与える経営への影響がとてつもなく大きくて苦労した経験があるから。パン屋の粗利(売上−原料費と言う単純計算)と言うのは実は大きくて、売上に占める粗利(益)の割合は70%超が平均と言うのはあまり知られていない気がする。アイテムを絞れば80%も可能となるのは商品の原価率が一般の飲食店と比べてとても低いからなのだけども、例えば一般的なパンの商品別原価率で言うと

 

・フランスパン(外国産小麦粉使用)  10%前後

・食パン               20%前後

・菓子パン              25%前後

・調理パン              30%未満

・サンドイッチ            35%前後

 

と、このように主だった商品の原価率がどれも30%以下、特に順主食クラスのパンの原価率が他の飲食店に比べて低いのが分かる。

 

 

じゃあ苦労しないじゃん!って?

 

廃棄ロス

ところがそこに落とし穴があって、パンは原価率が低い反面ロス率が高くなりがちパンは日配品で生鮮食品と比べても一番賞味期限が短いとも言える。製造した商品が余れば基本は廃棄、以前は翌日まで何品か割引してセット販売していた事もあったけど、前日焼いたパンを翌日まで堂々と売っているお店は基本はあまり見かけない。無添加で手作りであるならば、パンが美味しく頂ける賞味期限はとても短くて、フランスパンは厳密に言うと3時間、良く出来た食パンで2〜3日、その他菓子パン、調理パン系は具材が入るので基本は常温で1日だ。(サワー種を使った長時間発酵のパンで1週間以上日持ちする物もある。)保存状態も買う人によってバラバラ、店が保証できる消費期限はどうしても短くなってしまう。(大手工場の場合は大金を掛けて無菌室並みになっているので消費期限は更に伸びるけど)

 

制約

また、パンは発酵をとる為製造に時間が掛かる。追加製造しようと思っても商品が完成するのは冷凍生地を利用しても最低2時間後。突発的な売り場の急変に対して即応にしくい点は大きな弱点となる。←基本は前日までに綿密な製造計画が必要

更には、テナントとして入っていると時として制約が増える。特に百貨店に多いのだけども「売り場の棚は閉店ギリギリまで埋めておいて下さい」とか「営業時間は守って下さい」とか(当たり前ではあるけども)。売れないと分かっているパンを飾りのために(演出)焼く必要が出てくるなんてホント困ったもんだ。

 

原料価格

小麦粉をはじめ各種製パンに使う材料の価格は取引量によっても変わる。特に小麦粉の場合、大手メーカーならば月にサイロ単位(数トン単位)、中規模のパン屋ならば数百単位(一袋(いったい)25キロの)を境に価格が低下、日に10万以下の売り上げであれば一ヶ月の小麦粉の使用量は3桁に届かないのでかなり割高になる。全く同じ製品の仕入れ価格が雲泥の差。需要と供給のバランス=自由資本主義社会の基本と言われればそれまでだけども。

 

と言う事で、値上げも止む無し&どうか勘弁(理解)して下さいと言うお話。

 

 

タクシーも値上げしました

いや、これちょっとまずい気が...

 

 

鶏塩ラーメン

挽肉で作って見た。旨ぁ〜。